昔の悩みが解決した話

まだ右も左もわからない駆け出しのころに
違う人に正反対のことを言われて困惑していたことを思い出します。

具体的には、


●ジャズクラブのオーナーAさん
「本当にうまいプロとしか演奏しちゃダメだよ。
 同世代とかアマチュアとなんてもってのほか!」

◯ミュージシャンの先輩Bさん
「同世代のミュージシャンを大事にしなさい。そういう存在は宝になるから。」


同時期にこういうことを言われ、わたしは苦悩しました。
どっちなんだ!?と。


しかし今だからわかります。



どっちも正解だった。



本当にうまいプロの人と演奏すると、
その人と一緒に演奏しているということで
自分の名前が上がったり、一目置かれたり、
さらに本当にうまいプロの人なので
まるで自分が本当にうまいプロになったかのように導きあげてくれて、
さらに失敗もまるでなかったかのようにきれいにフォローしてもらえる。
Aさんはジャズクラブのオーナーなので、
新人の歌い手という”商品”でお金をとるということを考えれば
名人の手を借りてクオリティを上げないといけないという、
経営者的な観点からいえばそれは正しい意見です。


しかし、わたしは考えた。
そんな本当にうまいプロの人ばっかりと演奏していると、
下駄を履かせてもらってることを自覚しないまま
自分は成長できないかもしれない、と。


なのでセッションにいったとき、たまにやっていたのが、
あえて全然冴えない演奏をするアマチュアの人たちのところに入ること。
そうすると誰も下駄を履かせてくれないしフォローもしてくれないし、
生身の自分が冴えない演奏をする人たちに引きずり込まれる。
そこをグググっと自分が持ち上げてみせたい!!!と思っていました。
なぜなら、本当にうまいプロの人がそういう人たちとセッションをして
冴えない演奏をしていた人たちが突然サウンドするようになる現場を
なんども目撃してきたからです。
そしてそういったアマチュアの人たちと演奏することで
今現在の生身の自分の実力を把握してから
本当にうまいプロの人と演奏をすると、景色が全然違って見える。


熱湯を浴びたあとに氷水を浴びるような感じで、
かなり効果があるのでオススメです。


それと、同世代の仲間を大事にすること。
関西にいたころのわたしの世代は運良くものすごい盛り上がりで
ワラワラと超うまい人たちが塊で出てきて切磋琢磨していました。
同世代であーでもないこーでもないとバンドをする、
こういう時間は本当に貴重だし、一生残る絆だと思います。
特に都会にいると、地方からおもしろい人間が集まってきて
30歳の壁にぶち当たってわたしのように地元に帰る人も多く
全国に知り合いができる確率が高い。
あと、同世代は若い時はただの若造でもそのうち偉くなる。
ミュージシャンをやめても、ミュージシャンでも、
それなりにそれぞれの世界での地位がつくので、
そういう意味でも大事にしないといけないですね!


Bさんはミュージシャン的な立場から意見をくれて、
横のつながりを大切にする、これは実感のある意見でした。
しかし、縦のつながりを使って自分の価値を上げる努力をせずに、
同世代だけでサークル感覚でやっているだけではいけないと
今のわたしはAさんの意見を解釈しました。
というわけで、どちらも正しい!


てなかんじで、わたしの若い頃の苦悩はこうやって解決されました。
おわり。



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ライブあるよ。



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