変容をうけいれる。

ここ数年、もやもやしていたことが
このところ姿を明らかにしてきた。

わたしが歌をうたう人生を歩みたいとはじめに思ったときに
ぼんやりと思っていたことが、

「自分のいただいたこの楽器を使い切ってみたい」

ということだった。

そうだ。
そうだった。

どのジャンルかの音楽を学び
一度型にはまってみて
そこから自由になってみよう

二十歳そこそこのわたしはそういうことを考えていたんだった。

ここ数年、ジャズというものに対しての見方が変わってきて
そういう時期が来たのかなあ、と。

ジャズヴォーカルと聞いて世間一般の人たちが想像するイメージと、
わたしの中のジャズヴォーカルのイメージがどうやら全然違っていて、
それでもわたしは「ジャズヴォーカリスト」であることに
誇りを持っていたし、
ジャズヴォーカルに対しての感謝と畏敬の念を持っていたので
そう名乗ることにこだわっていた。

だけど、ぬぐいきれない違和感。
このところその違和感がどんどん大きくなってきて、
どうしたものかと考えていたら、
新しい肩書きというか、そういうのを付け加えたらいいんじゃないかと。

ということで、
ジャズヴォーカリストというものに、

ボイスクリエイター

というのを付け加えようと思います。

ボイスクリエイターってなんじゃらほい。
何かわからないけど、声でジャンル問わず表現していきたいな、
そういう仕事が来たらいいなと思ってつけました。
実際そういう仕事のほうが最近多い気がするし。

なんてことない変化なんだけど
気持ちがすごく楽になったよ。
そうそう、少しずつ変化していくもんなんだよ人間は。
ずっと同じところに止まらなくて当たり前。
変容を受け入れよう。



ジャズ・ヴォーカリスト/ボイスクリエイター
川本睦子